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やはり波紋を呼んだ! 岩手県沿岸北部地震の震度報道
先週末のブログ記事では、今年東北地方で発生した2つの大地震での建築の損壊被害が少なかったという結果を受けて、来るべき東海地震に対する防災意識が甘くなってるのではないかと危惧して、この二つの大地震がどういったものであったのか、もう一度まとめてみました。今日は、前回の宮城岩手内陸地震に引き続いて岩手県沿岸北部地震を取り上げます。

※このたびの災害に対し、東北地方現地の被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。これからの地震防災に役立つよう話題に取り上げさせて頂いています。

■□ 岩手県沿岸北部地震 とはどんな地震だったのか □■

btn040-2.gif 岩手県沿岸北部地震 (主としてウィキペディアより情報を得て記事にしています。)

2008年(平成20年)7月24日に岩手県沿岸北部で発生した地震。同県洋野町において最大震度6強を観測し、東北地方の広い範囲で震度5弱以上の強い揺れを観測しました。被害の特徴として、同じ規模の地震と比較して、建物被害が少ないこと、また地震の揺れの特徴として、揺れの長さと揺れた
範囲の広さが挙げられます。

これは、地震の震源が108kmと深い深発地震だったのが原因といわれています。
ちなみに、関東地方の高層建築物では、もともとの地震波が関東平野の軟弱地盤によって増幅された長周期地震動の影響で、2分〜3分という長時間揺れが感じられたとの報告があったようです。

●被害の傾向

青森県、岩手県、宮城県を中心に、建物の天井落下、窓ガラスの破損、停電、断水、落石による道路の通行止め、列車の運休などの被害が報告されており、負傷者も出た。

被害の傾向として、家具の転倒などによる被害が見られなかった一方、避難時に転倒するなどして負傷した例が多かったことが挙げられる。

この原因として、揺れが長かったこと、深夜の発生であったことなどが指摘されている。
被害が少なかったのは、観測された地震波のうち最も強い波は周期1秒〜0.1秒と短かく、木造家屋などが壊れやすい周期ではなかったったことが主因だと考えられている。そのため、震度6強で想定される被害よりもはるかに少ない被害ですんだ。

●被害状況 2008年7月30日 (水)17時00分現在

内閣府がまとめた情報 によると、
死者…1人
負傷者…207人
全壊家屋…0棟
半壊家屋…0棟
一部損壊家屋…210棟
その他…0棟
被害総額…被害確認中
被害地域…岩手県と青森県中心に東北地方広域

●防災意識

この地域一帯は13年前に三陸はるか沖地震を始め、過去に何度か災害に遭遇していることにより、住民の防災意識が総じて高く、それに対応するため堅牢な住宅が多いことも被害が少なかった一因として挙げられている。

■□ 「震度と被害のズレ」の問題が表面化しました □■

この地震でも震度6強で想定される被害よりもはるかに少ない被害ですんだわけですが、震度と実際の被害が乖離していることについてはあちこちで波紋を広げているようです。

気象庁は各震度における被害状況の解説表(参考:震度)を見直す検討を行っていることが報道されています。
この件に関しての2008年7月26日の読売新聞の関連記事は早くも抹消されているのでキャッシュから再現して本文を引用しておきます。
それにしても読売はなぜこんなに速く記事を抹消してしまうのか?7月26日時点での読売の見解をデータベースとして残すことも報道の大きな役割だと思うのですが。これも大人社会の都合か・・・。

------- 以下引用 --------

震度と被害のズレ解消へ、気象庁が解説表見直し方針 読売新聞、2008年7月26日。

 気象庁は、震度から想定される震災被害の程度を記述した解説表の見直しに向け、検討を始める方針を固めた。

最大震度6強を記録した岩手県沿岸北部の地震では、震度6強で想定される「大規模な住宅被害」はなく、実態とのずれが生じたためで、想定被害像と実態が合致した的確な解説表にする。
 解説表は、過去の地震被害などをもとに10段階の震度ごとに、想定される被害をまとめている。震度6強は、「耐震性の低い木造住宅では倒壊するものが多い」と説明されている。
 しかし、今回の地震では25日夕現在で住宅の全半壊はない。6月発生の岩手・宮城内陸地震でも、震度6強を観測した震度計の周囲で住宅被害がなかったことが報告されている。建物を変形させて壊すことが少ない短周期の地震波が多かったためとみられる。
 気象庁は、解説表の見直しに当たり、新潟県中越地震(2004年)や福岡県西方沖地震(05年)など過去の地震における家屋の被害情報や地震波を再検証。建物が損壊する詳しい仕組みなどの研究成果も交え、適切な表現を検討する。
 震度は防災の初動体制をとるうえで重要な判断基準となる。同庁は「分かりやすく表現し、信頼される震度情報の発信を目指したい」としている。

------- 引用終わり --------

同様にこの件に関してTBSが番組で特集している。
リンクが切れる前にここへ抜粋引用しておきます

岩手北部地震 震度6強は本当か? btn040-2.gif 報道特集NEXT、TBS、2008年7月26日放送より。

------- 以下引用 --------

岩手北部地震 「震度6強」のナゾ

 7月24日未明に発生した地震はマグニチュード6.8、震源は岩手県沿岸北部、最大震度は「6強」を観測した。負傷者は約200人にのぼる。
 この地震は、大陸プレートの下に潜り込んだ太平洋プレートの内部で起きた。プレートに力が加わると、内部ではそれに反発する力が起きる。
その反発によってプレート内の断層が動き、地震を引き起こしたと見られる。
 震源の深さは108kmだ。深さが8kmだった「岩手・宮城内陸地震」(6月)に比べると、かなり深い地点で発生しているのが特徴だ。

 「震度6強」を観測した岩手県洋野町(ひろのちょう)を、地震災害と地盤との関係に詳しい、東北学院大学・吉田望教授と歩いた。
   
 中学校の体育館はガラスが何枚か割れ、壁の一部がはがれ落ちているが、倒壊するほどの被害ではない(洋野町立大野第一中学校)。

○東北学院大学 吉田望教授
「とても『6強』とは思えないような被害の少なさですよね。」
 吉田教授は、ある違和感を覚えていた。吉田教授は"震度6強の現場にしては建物の被害が少ない"と指摘する。
 気象庁によると震度6強の地震は、耐震性の低い木造住宅の多くを倒壊させるという。
木造建物の被害《震度6強》…耐震性の低い住宅では、倒壊するものが多い。耐震性の高い住宅でも、壁や柱がかなり破損するものがある。 (気象庁震度階級関連解説表より)

 今回、その「震度6強」を観測した震度計は岩手県洋野町の1台だ。役場の敷地内(洋野町役場大野庁舎)で、高さ1メートルほどの土手の上に設置されていた。

○東北学院大学 吉田望教授
「すぐ左側が少し低地に、1メートルくらいですが段差がある。そうすると、揺すられた時に左側のほうへ揺れやすい。そこを見ていただくと亀裂が入っている。それぐらい左側によく揺れたということで、(震度計を)真っ平らな地面に置いてある場合よりは揺れやすかったと。」

 しかも震度計周辺の土壌は…。

○記者レポート「非常に柔らかい土です。」

 震度計のすぐそばにある築年数約90年の木造住宅では、部屋の壁の一部が崩れた以外は家屋に被害はなかった。庭の鉢植えも倒れなかったという。倒れたのはフクロウの置物ぐらいだ。

 今回と同じ「最大震度6強」を観測した2007年7月の「新潟県中越沖地震」では、全半壊した住宅が7,000棟を超えた。

 しかし今回の地震では住宅の倒壊は1件も報告されていない。

○記者「実際に地震は『6強』あったんでしょうか?」
○吉田望教授「記録の話ですから、それを疑うわけではないが、『6強』をこの地域に適用していいかどうかという意味では少し疑問が残った。」

 岩手県洋野町の震度計が観測した「6強」という数値が、実態とかけ離れているのではないかと指摘する専門家は他にもいる。

○東京大学地震研究所 纐纈一起教授インタビュー
「今回、建物がそれほど大きな被害を受けなかったというのは、今回の地震の揺れの性質も一つの理由だと考えていいと思います。」

 ゆったりと動く周期の長い揺れは建物に大きな被害をもたらす。それに対し今回は周期の短い揺れだったため、被害が少なかったと見られる。
 
 さらに、現在全国に設置されている震度計には、こんな特性があるという。

○纐纈一起教授インタビュー
「今回の地震のように、周期の短い揺れに対して現在の震度計で震度を計算すると、どうしても大きめの数字になってしまう、というのはこれまでの研究でかなりわかってきている。それが原因となって震度の数字と被害の程度の乖離(かいり)が起こってしまったのではないかと思います。」

 一台の震度計が観測した「震度6強」。この数値が実態をはるかに超える被害のイメージを作り上げてしまったのではないだろうか。

------- 引用終わり --------

これは被害実態よりも震度値が大きく発表されてしまったため、いわゆる観光の風評被害が発生しているという論調だ。
私は逆にこの震度6強という公式の値がこの程度の被害しか及ぼさないというイメージが定着してしまったのではないかと、危惧している。

恐らく東海地震が心配される静岡県下において、多くの人々は今回安心感を得たと思う。報道は真実を伝えたというよりは、むしろ真実という幻想を創り上げてしまったのなのかもしれない。

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テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

既存住宅の耐震改修 | 16:05:04 | Trackback(0) | Comments(0)
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