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予想される東海地震 震度6強なら建物被害は少ないか
■□ 耐震改修を提案する難しさ □■

私は最近、築20年以上経っているだろうと思われるお宅へ訪問して住宅耐震診断をおすすめしていますが、なかなか難しいものがありますね。

「お宅は大きな地震が来るとつぶれそうですね」と言うわけではありませんが、やはり微妙なタイミングというのがあって、お客さんがそう言われたと感じてしまうこともあるようです。そういう時はひたすら申し訳ありませんと詫びるしかないのですが、確かに地域によって防災意識について、かなりの温度差はあるようです。防災意識を高めるというのは行政の仕事のように思われてしまっていますが、やはり我々のような建築の専門家が率先して啓蒙活動するというのは必要なことではないでしょうか。
そんなわけで、これからもあちこちで失礼なことを言ってしまうかもしれませんがお許しください。では今日もめげずに張り切っていきましょう。

■□ 兵庫県南部地震は決して大きな揺れではなかった? □■

先日、発生した岩手内陸地震では大きな揺れ(震度)と規模(マグニチュード)を記録しましたが、その割には住宅などの建物への被害は少なかったようです。これは、「キラーパルス」という木造2階建ての建物と共振作用を及ぼす長周期地震波の成分が少なかったことによるというのは前回の記事で説明しましたが、実際に大地震によって建物が倒壊に至るには非常に複雑な物理現象的プロセスを伴います。

1995年におきた兵庫県南部地震では、神戸市域を中心に多くの構造物が甚大な被害を受けました。“想像を絶する強震動”などと表現されることもあり、そのセンセーショナルな報道イメージから、さぞかし大きな揺れであったのだろうと思われがちですが、実は地震動の最大加速度値で見る限り、経験値の範囲内で特別大きなものではありませんでした。これは前述の「キラーパルス」が多く含まれていたという理由もありますが、実際にはもっと複雑です。

兵庫県南部地震の時、震源断層から放射された長周期パルス波は周期1〜2秒を中心に広い周期帯域にパワーをもっていましたが、木造住宅や中低層建物の固有周期は0.1〜1秒程度であり、地盤(堆積層)による地震波の増幅・共振現象等だけではこれだけの被害の説明がつきません。

■□ 固有周期 棒の先にゴルフボールをつけて考えよう □■

この「固有周期」というのは、棒の先にゴルフボールをつけて自然に揺らしたときのことを考えてみると分かりやすいのですが、棒の長さを長くすれば当然、ゆらゆら右に左に揺れる時間間隔がゆったりになります。短くすれば速く揺れます。これをその物体がもつ固有周期といいます。

建物でいえば、木造住宅や中低層建物の固有周期は0.1〜1秒程度ということですから、横から水平方向に力を加え、その後自由に運動させると1秒間に1回から10回右から左へ揺れを繰り返す性質を持っているということです。

さらに、そのゴルフボールの付いた棒を手で握り、積極的に揺らすときのことを考えてみましょう。うまくタイミングを取ると少しの力で大きく揺らすことが出来るとうのが経験的にわかると思います。ブランコと同じ原理です。これが共振作用です。

木造住宅や中低層建物がどのように破壊されていったのか検証してみると、まず広い周期帯域にパワーをもっているパルス波のうちの短周期成分の影響で構造の一部が損壊し、建物が大きく揺れるようになってさらに建物の固有周期が延びます。そのような状況で1秒を越える長周期波が効いてきて、
全壊に至るような大きな被害になったというのが分かってきました。

■□ 震災報道を誤って受け取る危険性 □■

ですから、先日発生した宮城岩手内陸地震や岩手北部地震で震度6強が観測され、建物の損害が少なかったという理由で、これから30年以内に87%の確率で東海地震が発生するされる地域において、震度6強ぐらいの揺れでは住宅は倒壊しないのではと考えるのは非常に危険です。地震の「震度」数値はその地震の性格を現す一つの目安に過ぎないということを謙虚な気持ちで受け入れねばなりません。

では、その少し時代遅れになってきた「震度」階級による表現とは一体何なのでしょう?
さらに次回記事へ続く

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テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

既存住宅の耐震改修 | 15:42:08 | Trackback(1) | Comments(2)
コメント
キラーパルス?
 地震周期が1.0秒以上が「キラーパルス」と云われる様ですが、
14階建のマンションに住んでいた時東京が震度3〜4ぐらいだったかな〜そのゴルフボールと同じゆっくりした動きで部屋が傾くかなとかマンションが折れてしまうんではとか恐ろしい経験があります。
木造であったらもう倒壊でしょうね!
地震波って何種類あるんですか?
宜しく御願い申し上げます。
2008-07-28 月 18:39:30 | URL | 東京の人 [編集]
それは船酔い状態ですね
私はいまだかつて、そんな高いところへ住んだことないんですが、「マンションがこのまま倒れてしまうのか?」というのは変にリアルですね。

今の地震の学校教育ってとても盛んで、中学2年生で縦揺れP波が先に到達して、横波のS波が遅れて到達するってことも習うんですね。これはもともと混合されていた、ひとかたまりの波動が長距離を渡ってくる間に成分ごとに分かれてしまうということだと思うんですが、同じ波動である「音」に無限の多様性があるように地震波も同様じゃないんでしょうか。誰か教えてください。
2008-07-28 月 21:25:01 | URL | 管理人:太田 [編集]
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