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こうしてコストダウンした 「地盤減震システム」
■□ 建物位置の復元装置をあえて内臓していない? □■

繰り返しますが「地盤減震システム」は、建物と地盤の間にスベリシートを挟んで震度5強(200gal)以上の地震時に建物をコントロールされた量を滑らせることによって共振作用をカットする仕組みです。

ところが「地盤減震システム」では地震後の建物位置の復元装置をあえて内臓していません。
なぜなんでしょうか?今回はその点について考察してみましょう。

復元装置はハウスメーカーが採用する免震工法の装置には必ず内蔵されていて、各社が開発する上で一番苦労する部分でもあるのですが、この装置が地震直後に必ず自動的に作動して、建物が元あった位置に復元するようにしているわけです。かなりメカニックな部分で、重力を利用したもの、ゴムの復元力を利用したもの、油圧ダンパーによるものなど、各社が差別化を図るべく工夫を凝らしています。

実は「免震装置」というのは「自由運動させる装置」、「揺れを減衰させる装置」、「位置の復元装置」の一連の動作により、初めて一つの装置として完成しているのですが、「復元装置」部分でかなりコストアップをしています。装置を構成する部材の費用と設置費用はもちろんですが、商品開発費と第3者機関による実験データの採取などの経費を商品代に上乗せして、これを回収しなければなりません。これはまあ、一般的な話として、うなづいて頂ける内容ですね。

■□ コストアップするのは制度の問題もあります □■

ここから先が一般には知られていない特殊な話になります。この「免震工法」は制度的な問題が内包されています。どういうことかというと「免震装置」は建築設備として建築基準法上、確認申請手続きが必要なのです。
確認申請を必要とする建築設備は他に例えば「乗務用エレベーター」があります。そういえば「エレベーター」の安全神話が崩れたのは記憶に新しいですね。このように許認可を巡っては非常にデリケートな政治的な問題も関係しています。
ともかく、「免震装置」は安全性を実験データなどにより実証し、性能を数値化して大臣の認定を受けなければ、作って設置してはいけないということになっているのです。この制度的手続きにかなりのコストがかかります。住宅は基本的に一軒ごとに形状が違いますから、ここで一軒一軒違う住宅の性能をどうやって実証するのかという問題もあるわけです。この点は、少品種大量生産という製造方法を採用しているハウスメーカーは型式認定という制度を利用し、似たような建物の場合、一括して認可をとってしまう方法で手続きを簡略化し、実験検証のケースを減らしてコスト削減を実現しているようです。

例えば、一条工務店が免震装置付の住宅として一般大臣認定(型式適合認定)を第1号を取得した半年後に、大和ハウスが違うシステムで第2号となる一般認定を取得しています。

こういった事情でコストが掛かり過ぎる為、最近ではハウスメーカーが独自のオリジナル装置を開発するというより、免震装置の開発メーカーの物を利用しているケースも多いようです。

ハウスメーカーと免震装置


■□ 地域の工務店が免震工法を採用する場合 □■

翻って小資本である地域の工務店の場合どうでしょう。
実際、免震工法を導入しようと思えば、免震装置の開発メーカーに頼んで指導を受けながら取り入れていくことになります。確認申請手続きに関しては、最初は全て個別認定を受ける方法になってしまうので、これも専門の構造事務所に依頼して審査を受けていくようになるだろうと思います。
ちなみに、免震工法の確認申請時には、2階建て以下の木造住宅などの免震構造で告示2010号に適合する免震装置を設けていれば、構造計算書などの提出が省略できるという四号免震にしても、37条認定を取得した装置で、個別の住宅評定(個別認定と呼ばれ指定性能評価機関などによる審査)
受けたうえで承認されるため、設計費用や申請費用などで300万円程度の費用を要したり、審査に3ヶ月程度かかるケースも多いらしいですね。

このような事情で、地域の工務店が採用できる免震装置というのは結果的に非常に高額になってしまうのです。結果的に資本力のあるハウスメーカーの独占市場が形成され、競争が起こらないので価格が下がらず普及しなかったというのが実状でしょう。

■□ 「地盤減震システム」の英断とは □■

「地盤減震システム」が「免震」というキーワードをあえて使わない理由がここにあります。「地盤減震システム」ではあえて特殊な装置をこの減震システムに組み込まず、シンプルに建物を滑らせることだけに特化し、制度の枷を取り払いコストダウンに成功しています。

当然「建物が滑ってずれてしまった後は一体どうするんだ?」という疑問があります。それは前回の記事で、図解しました。
この位置復旧の方法は特別な装置を一切使っていないことは明白です。ずれた建物を曳き屋の原理で油圧ジャッキを使用して動かすだけです。
これには若干、建築的な工夫が必要ですが、これはシステム外ですので当然、建築設備としての確認申請は不要ということになります。

さらに記事は続きます

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テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

地盤減震システム | 18:44:30 | Trackback(0) | Comments(0)