投稿日:2008-06-10 Tue
■□ シロアリは森の解体屋 □■私が子供だった一昔前までは大工さんの加工場の裏などに、いらない木材が放置されたままになっていたりして、たまにそれを持ち上げたりして放置されていた材木の裏側の様子をみると、ナメクジやミミズ、ダンゴムシ、ムカデなどいろいろな生き物がそこを生息の場にしていたりして、足がたくさんある奴や、逆に足のない芋虫系の生き物が苦手な自分はいやなものを見てしまったと後悔したものです。最近は土が露出している場所そのものが身の廻りからなくなったり、また木材などの可燃性のものをそこいらに放置しないようにするようになったためか、そんなこともずいぶんと減ってしまいました。
▼家の裏に咲くヒメジョオンがきれいでした。ハルシオンとの違いがいまいち分かりません。

考えてみれば、子供たちはそのようにしてダーウィンの自然淘汰論では説明のつかない「住み分け」があることや、生物の多様性や、シロアリが木を食べて土に還したりする様子を目の当たりにして、自然のしくみそのものを勉強していたはずですが、そういうことも減ったのではないでしょうか。

そんなことも考えつつ、数種類の木材を草むらに半年ほど放置して、生物が「木材」に対し、どういった行動をとるのか実験をしてみようと思いました。思惑通りにシロアリが木を食べるのか、どうかは分かりませんし、実験と呼べるほど、がんばるつもりもありません。ただ、ひたすら放っておくだけです。これほど非科学的な実験もないでしょう。
半年後、忘れたころにこの結果を皆さんにお知らせします。私も忘れてしまうかもしれませんね。
これはまさに脱力系実験です。では秋が深まる5ヵ月後の11月10日にまた、お会いしましょう。
セランガンバツ 無処理〃 木部防腐着色塗料キシラデコール塗布
桧 無処理
〃 シロアリ剤アクアアリゾール 塗布
杉 無処理
〃 シロアリ剤アクアアリゾール 塗布
米ツガ 加圧注入木材 CUAZ
米松 無処理
〃 シロアリ剤アクアアリゾール 塗布
※順不同
☆どうでもいい話
アメリカなどではペットでアリクイを飼う人が多いらしい。画像で見る限り、ぺろぺろする長い舌べろを除けば、鼻が異常に伸びたコアラのようで愛嬌があってよろしい。シロアリ対策に床下で飼ってはどうだろう。
アリクイのペット自慢するページ
アリクイがシロアリを喰う動画を見る☆いまさらの話
「風の谷のナウシカ」では、私が嫌いな足のたくさんある蟲がたくさん出てくる。結局、王蟲は人間が汚した土壌を浄化して還す役割を担っていたわけだけど、結局「くに」が滅びる直前になって救世主が出現するまでそれに気がつかなかったんだよな。うーん、すごい。少し世に出るのが早すぎたかな。
☆☆ このブログでは コメント、トラックバック大歓迎です。 ☆☆
コバヤシ建築の「木の家」 【www.kigumix.com】では建築画像をどっさり公開中 
投稿日:2008-06-03 Tue
■□ 工務店だからその場で判断実行出来る □■築20年以上の島田市内のお宅でキッチン、風呂等の水廻りの増改築工事をさせて頂いたときのことです。造り付けお風呂を一回り大きいユニットバスに変える工事計画で、その部分を解体したところ、長年の漏水から土台が腐って欠損してしまっているのを発見しました。シロアリによる喰害のような部分も多少見受けられましたが、そのときの画像をご覧いただきます。



現在、戸建用住宅で90%以上採用されているユニットバスですが、その歴史はわずか約40年で、1964(昭和39)年の東京オリンピック工事を契機として広がりました。これはやはり日本独特の展開らしいのですが、これが容易に受け入れられた要因として、五右衛門式風呂以降の作り付け風呂は洗い場のタイル目地が痛むと、そこから漏水して必ず建物の土台が腐ったということに苦労していたということがあると思います。これは床下に空隙を作らないのでシロアリの被害にも会い易い構造でした。浴槽の下は客土です。同じことが客土を入れ下地コンクリートにタイルを張ったつくりのトイレにもいえます。
このお宅の場合も画像で見るように、やはり長年の漏水により土台の木部がすかっり朽ち果てていました。経験からいえば、この式で作ったお風呂はまず100%腐ってますね。腐った原因としては洗い場からの漏水と躯体内の結露だと思います。漏水の原因に限っていえば、内部に入れ込んだ客土の沈下により床仕上げのタイルが割れそこからじわじわと染み込んでいったのだと思われますから、これから建築する方で石張りを施したような作り付けの風呂を作りたい場合、ベタ基礎の上にきちんと客土を入れ、セメント系改良を施してもよいかもしれませんが、突き固めして沈下しないようにすれば改善するだろうと思います。もちろんシロアリ除虫した客土を使うことが肝要です。



土台が痛むと柱脚が基礎と構造的に断絶しますから、例えば地震時に深刻な被害を及ぼすことは容易に想像できます。柱の下がスカスカでは外力が加わったとき、建物の重量を支えきれずに倒壊するにいたることも考えられます。これがシロアリや腐りが怖いといわれる所以です。
画像では腐った部分を取り除き、桧に防腐剤を塗布した材料を据え直しています。こういったリフォームの場合、予備費的な経費を見込んでおくべきですが、競合等でローコストに徹した商売をしているリフォーム専門屋さんの場合はこのへんどうなんでしょうね。経費がない、工期がないでは、多少の痛みぐらいであれば、申告なしにそのまま隠蔽されてしまうケースもあるのではないでしょうか。
今回の工事では腐朽部を完全に露出することが出来たので比較的簡単な工事で処理できました。露出さえ出来れば大工工事で対応することが可能です。これがメンテナンスをしやすい構造にすることの意味です。


このように建築の現場では経験則による知識が物事の成否を左右しますので、施工者が直結している経営形態の工務店はこれから到来する「超長期維持住宅構想」時代に大変有利だと思われます。ぜひ、ご一考ください。
☆☆ このブログでは コメント、トラックバック大歓迎です。 ☆☆
コバヤシ建築の「木の家」 【www.kigumix.com】では建築画像をどっさり公開中 
投稿日:2008-05-30 Fri
■□ 200年住宅の意味するものとは? □■前回の記事では、これからの国策として「量」から「質」を問う時代へ移り変わっていくので、住宅の長期維持管理において「メンテナンスフリー」という考え方よりも「絶え間ない軽微なメンテナンス」というシステムに移行していくという話をしました。このことはいたずらに過剰な薬剤使用をせず、環境負荷を小さくしていくことに対して有利に働くはずです。
「自民党 200年住宅ビジョン」
福田首相の所信表明演説等に関する記事 日本不動産ジャーナリスト会議のサイトより このページは政治を語る場ではないので、政策上の不備を攻めることは疲れるのでしませんが、このような方向性は持っているとはいえ、解決しなければならない諸々の事情があります。この世の中がすべからく利益を最大にするというベクトルで動いているからです。
日本の建物の長寿命化は、住宅履歴書や建物の耐久性を向上させることだけでは実現しないだろうし、相続税制の問題や日本人の「穢れ(けがれ」)意識の問題、増改築や用途転換が困難な建築基準法の問題など指摘されていますが、ごもっともです。しかし私としては、このような日本の将来へのイメージを誰にも分かりやすく端的に語ったということは評価に値すると思います。インタビューで福田総理が「200年という具体的な数字については深い意味がない。」とさらっと申したことはエライと思いました。あっと、結局話がそれましたね。
■□ 品確法に関する保証約款で確かめる □■
それでは我社の住宅の完成引渡し時に受けるシロアリ防除工事の保証とはどのような内容なのでしょうか。土壌の薬剤処理と木部処理を合わせて防腐防蟻処理を施すことにより5年間の業者保証が得られます。シロアリ業者の保証は食害部の修繕は含まれず、保障期間中に建物内部にシロアリ発生が認められた場合、除虫処理と再度の防虫処理が無償で受けられます。
ではシロアリに喰われた木部の修繕はどうなるんだということですが、これは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」)」により、構造耐力上主要な部分、または雨水の浸入を防止する部分について建築の請負者である我々工務店が10年間の瑕疵保証の中で責を負います。これは完成引渡し時にお渡しする「保証約款」に詳しく取り決められていますので安心してください。これは社会一般に通用する概念だと思われます。参考にして下さい。
「船場吉兆」の例のように、企業の良心が厳しく問われる昨今ですが、10年間の瑕疵保証は消費者を全面的に保護する法律なので我々のような供給者の立場からするとかなり神経質にならざるを得ません。ここで過剰な薬剤の使用が促進されているのは間違いありませんが、非常にデリケートな問題です。
では建築基準法では防腐、防蟻に関することをどのように規定しているのでしょう?
やはり薬剤の過剰な使用を促す要素はあるのでしょうか?
次回記事ではそのあたりを確認してみましょう。
土曜日は休刊日です。来週お目にかかります。
☆☆ このブログでは コメント、トラックバック大歓迎です。 ☆☆
コバヤシ建築の「木の家」 【www.kigumix.com】では建築画像をどっさり公開中 
投稿日:2008-05-29 Thu
■□ 国策「200年住宅構想」と地域工務店の存在意義 □■これまでの記事では当社の防蟻防腐関連の工事を再検証してみました。
家族に化学物質過敏症の恐れがある拙宅の建築計画のことを合わせて考えてみても、この数度に渡る薬剤処理が少し過剰なのではないかという気がします。この辺はどのように考えていけばよいのでしょうか。
これらの薬剤処置は、「防腐」という観点を除けば、「除虫」ではなく「防虫」主義です。将来的な虫害を考えて予防しようという考え方ですから、原理的に建物全体の処理という考え方になります。当然、過剰な薬剤処理に頼らざるを得なくなるのです。ですから、定期的に床下点検が出来る構造にし、蟻害の兆候を見つけたらその都度、局所的に処理するという考え方に移行すればよいかと思います。専門業者に頼りきるのではなく、住まい手自身による点検ということも考えてよいかもしれません。この方法であれば我が家の建物に適用出来そうです。
SE構法を採用する場合、土台廻りの構造材樹種を耐蟻性の強いものにするということが現状のSE構法の供給体勢では難しいため、さらにシロアリの習性を知って物理的バリアーを考える余地がありそうです。これはSE構法の供給者であるNCNとも連携を考えなくてはいけないでしょう。
▼島田市千葉の国宝「智満寺本堂」
案内図はこちら (この地図は改良を要しますね。暫くお待ちを。)
現存する歴史的な建造物から学ぶことは多い。床下を開放して通気性を確保し、高床にすることで物理的バリアーを実現している。建物の傍にシロアリのコロニーになる樹木が植わっていないのは当たり前だろう。構造材が露出しているので腐朽や儀喰の被害の発見も早い。このように早期発見して修繕を繰り返し、愛着を持って結果的に建物を長く維持するのが本来の形だと思う。




←柱脚部の腐朽部分を接木して修繕しているのが分かる
先ごろ福田首相の発表した、「200年住宅構想」が進行します。国は、ようやく戦後の「質より量」の住宅政策から抜けだし、質の高い、長く愛される住まいづくりを決意したようですが、建築後の長期メンテナンスを考えると、社内に施工部門を内在し施工ノウハウを有する地域の工務店がよいと思いますが皆さんはどう思われますか?
シックハウスや化学物質過敏症などを引き起こした原因の一つは、我々供給者の過剰な木部防蟻腐朽対策にあるといえます。その背景には我々の薬学的無知はもちろんですが、法制度上の問題もあります。そのあたりを次回記事で論じてみようと思います。
☆☆ このブログでは コメント、トラックバック大歓迎です。 ☆☆
コバヤシ建築の「木の家」 【www.kigumix.com】では建築画像をどっさり公開中 
投稿日:2008-05-28 Wed
■□ 外構工事で防腐処理済製材を使用する場合もある □■前述のように当社では建築本体に環境負荷の高い防腐処理済み木材は使用していません。
ただしウッドデッキの土台や床束構造部などの外部雨掛かりの部位へ腐朽対策として、ベイツガの処理済材を使う場合があります。薬剤の塗布では降雨で洗い流されてしまうので長期的な効能が期待できないからです。これは公共の公園緑化地などの木製遊具に処理材が使われているのと同じ理由です。あくまでも使用する総量が少ないという条件で使うべきです。
当社で使われる木材保存処理材を改めて調べてみました
製造メーカー : 株ザイエンス
薬剤名 : CuAz
主成分 : シプロコナゾール(当社で木部処理に使う薬剤ハチクサンにも含まれる)



▲ 「Iさん」 ウッドデッキ工事の束、土台に使われたCuAz処理済ツガ材
切り口を見ると薬剤が浸透しているのは表面から10mm程度であることが分かる
■□ ウッドデッキの床材には薬剤処理が不要な木材セランガンバツ □■
外構工事の際、ウッドデッキの床板や木製フェンスの幕板にはセランガンバツ材やマニルカラ材を使っています。これらの木材は耐腐朽性能が非常に高い樹種で、船舶の甲板等や橋梁床材に使われるほどの材料です。流通している材は薬剤処理は一切行われていませんので環境に優しい木材といえます。また堅く緻密な材質により微生物や害虫を寄せ付けない性質は日本在来の栗材の代用という感じでしょうか。ただし針葉樹の在来種の構造材に比べると非常に高価な材料です。
▼ 「Iさん」 ウッドデッキの床材に使ったのはマニルカラ材、キシラデコールで着色塗装してある。


薬剤処理なしで、接地し風雨に曝されるような所に用いられても、平均寿命は18年以上と報告されていますが木材の経年変化によりシルバーグレー色に変色し、細いひび割れが生じます。そこで当社では色合わせの意味も含め、キシラデコール、ガードラック塗料などの木材保護塗料を塗布します。ただし、これらの塗料には防虫防腐剤が入っています。
▼ 「Nさんの家 玄関周り」
木材保護塗料 : キシラデコールの安全性毒性値:経口ラットLD50 >2,000mg/Kg
(注意)最近は動物愛護の観点から、毒性値については>2,000mg/Kgの値があれば毒性上特に問題はないとして、それ以上の値を求める試験はされない傾向にあるそうです。毒物および劇物取締法では、経口は300mg/Kg、経皮は1,000mg/Kgを超える場合は毒劇物に非該当(普通物)ということです。
☆☆ このブログでは コメント、トラックバック大歓迎です。 ☆☆
コバヤシ建築「木の家」 【www.kigumix.com】では建築画像をどっさり公開中
投稿日:2008-05-27 Tue
■□ シロアリ除虫ではコロニー(巣)対策を考える □■薬剤に全面的に頼らずに防腐防蟻対策をするためにはどう考えていけばよいか、当社の標準的な施工の反省点の洗い出しも含め、前回、前々回と再考しています。
これまでのポイントを改めて書き出してみると
● 旧家屋解体時の新築準備として、敷地内の枯れ木、樹木切り株などを撤去
● 建築前に土壌薬剤処理をして土壌に生息するシロアリを除虫
● ベタ基礎工法を採用しシロアリに対し物理的バリアを構築
● 基礎耐圧版の下に防湿シートを敷き込み床下の湿度が上昇しないように
● 地盤面から構造材までの距離を確保する断面設計
● 建物の防腐防蟻を要する構造材は「桧」が主(在来工法時)
● 基礎パッキンで床下の通気性を確保する。
● 工程都合により隠蔽されてしまう部分の薬剤による木部処理
● 床束は鋼製束を使用
ということでしたね。
第3回目となる今日は、薬剤での木部処理の再検討です。
薬剤処理済製材を使うハウスメーカーと比べて果たしてどうなのでしょうか。
● 薬剤による木部処理
大工さんによる床組み、筋違い材、間柱材が所定の位置に取り付いたら薬剤による防蟻処理を専門業者が行います。
薬剤名:ハチクサン20WE(乳剤)
メーカー バイエル クロップサイエンス株のサイトで詳しく調べるハチクサンは「乳液」すなわち水性薬剤です。これまで多かった「油剤」と違いシックハウスの元になる揮発性有害物(voc)を発生しにくい性質です。
またハチクサンは非忌避性の殺虫剤で、シロアリを効果的に薬剤へ接触させ確実に致死させる「ドミノ効果」を発現します。
この「ドミノ効果」とは、シロアリの行動特性を利用して個体から個体へと薬剤の有効成分を次々に伝播させ、コロニー全体を駆除することをいいます。
まず薬剤処理した場所をシロアリが避けることなく薬剤に接触したりして身体か消化管の中に薬剤を取り込みます。接触後すぐに死んだのでは伝播は起こりにくいので適度に遅効性を持たせてあります。シロアリは社会性昆虫で、その習性であるグルーミングや栄養交換、死骸の処理などを通して仲間へ伝播していきます。さらに多数の他の仲間にまで薬剤を行き渡らせるためには致死量の何倍もの薬剤をコロニー(巣)へ運ばせる必要があります。シロアリ防除には根本治療、即ちコロニーの撲滅が不可欠なのです。すこしシロアリが可哀想ですが。
■□ 在来木造系ハウスメーカーと毒性度を比較してみよう □■
薬剤メーカーによる用法の説明によれば20倍に希釈したハチクサンを 1.0(m2)あたり300(ml)散布するのだから1階床面積20坪に使用する場合 20*3.3*0.3kg*5%=0.99kg のハチクサン原液を使う勘定だ。またハチクサンの毒性値は 経口ラットLD50で 5000mg/kg だった。
これを防腐処理済み材を使用する在来木造系ハウスメーカーの場合と比較してみると、同様の規模の住宅にACQ薬剤が11.7(kg)使われている。(これは以前の記事で検証した数値。)
これは当社がハチクサンを現場で塗布することと比べると毒性が4.5倍強く、薬剤の量は12倍近い量であることになる。
繰り返すが、なぜこんな試算結果でも在来木造系メーカーはACQ処理材の安全性が高いといっているかというと木材中に取り込まれたACQ剤は水に溶け出さないという理由に尽きます。たしかに長期に渡り非常に安定しているのかもしれませんが、化学物質に汚染されたその木材は明らかに環境負荷が高いといえるのではないでしょうか。
とはいえ当社でも外構工事で防腐処理済製材を使用する場合があります。時間が来たようです。その辺の話を次回しましょう。
またこれから薬剤の量を減らしていく上で法制度上の問題等も合わせて考えてみましょう。
☆☆ このブログでは コメント、トラックバック大歓迎です。 ☆☆
コバヤシ建築が建てる「木の家」 【www.kigumix.com】では建築画像をどっさり公開中
投稿日:2008-05-26 Mon
■□ 納得いくまで考える防蟻防腐対策 □■前回までの記事で、「薬剤に頼り切らない防腐防蟻対策では物理的バリアと樹種選択が重要である。」ということをお伝えして来ましたが、それではわが社では一体どういう対策を施しているのかを再度検証しています。今回はその2回目です。
前回記事の内容● 旧家屋解体時の新築準備として、敷地内の枯れ木、樹木切り株などを撤去
● 建築前に土壌薬剤処理をして土壌に生息するシロアリを除虫
● ベタ基礎工法を採用しシロアリに対し物理的バリアを構築
● 基礎耐圧版の下に防湿シートを敷き込み床下の湿度が上昇しないように
● 地盤面から構造材までの距離を確保する断面設計
● 建物の防腐防蟻を要する構造材は「桧」が主(在来工法時)
ということでした。それでは今日も張り切ってはじめましょう
● 床下の通気性を確保する。
基礎パッキンを使用して床下が湿潤しないように通気性を確保する。
「基礎パッキン」とは、板塀の土台部や柱脚部などで以前使われていた納め方で「ネコ土台」「ネコ石」と呼ばれていた手法を発展させ、樹脂で製品化したものを指し示します。木製である土台を基礎コンクリートに直に触れさせないように浮かせ、常に新鮮な空気を触れさせて腐りにくいようにしました。昔はネコ土台そのものが傷むとそれだけを取り替えればよかったわけです。点検とメンテナンスを繰り返すという法隆寺の永続保存方法と同じ伝統的な考え方ですね。こうしてみると、そもそも現代の「メンテナンスフリー」という考え方が間違いの始まりって気がします。
下の画像は連続タイプのロング型基礎パッキンです。横から見ると空気が抜けるような構造になってます。荷重を支えるために樹脂がハニカム構造になっているのが分かります。画像はフクビ製です。
パッキンが土台に接する方がフラット面、基礎コンクリートに接する方がハニカム面です。



また、玄関土間周囲やユニットバス周りでは外部からの隙間風が流れ込まないように気密を確保するタイプも出てきました。この辺の使い分けが難しいです。これは城東テクノ製のものの画像です。



基礎パッキンの使用は主に木材の腐朽対策として行っています。床下が乾燥していればシロアリ蟻害がなくなるというのは実は俗説で科学的根拠はありません。これは最近のシロアリ行動学の研究等で実証されています。正確にはシロアリが住みにくくなるという程度です。シロアリは湿潤な土中の巣から蟻道という連絡道を作り家屋に侵入し食害を起こす場合があるからです。
基礎パッキンを使うことにより基礎外周立ち上がり部に床下換気口の開口欠損がなく構造的に連続するという利点もあります。
基礎パッキンのメーカー城東テクノのサイトで詳しく読む●工程都合により隠蔽されてしまう部分の薬剤による木部処理
土台材裏面にあらかじめ薬剤を塗布しておく。
薬剤名: アクアアリゾール 大日本木材防腐株式会社
工程的には上棟直前ですが、土台を基礎の上に据えるとき、後では薬剤の散布が難しくなる隠蔽部(土台材裏面など)をあらかじめ市販の防蟻材を使い、大工さん自身が塗布します。本格的な専門業者による木部処理は上棟が済んで床組みが終わったころです。この辺りはやや過剰かもしれませんね。満遍なく処理しておかねばならないという、事後のクレーム対策という面もあるのです。制度的な問題もはらんでいます。総じていえることですが、住まう人が化学物質に過敏である可能性がある場合、事前によく協議することが肝心ということに尽きます。●床束には鋼製束を使用
ベタ基礎だから湿気ないといって木製の床束をコンクリート面にじかに建てるのは、薬剤に頼らない防蟻方法を模索する上でよろしくありません。シロアリから木を遠ざけることが極めて重要です。
鋼製束のメーカー カネシンさて、それでは次回記事でいよいよ本体の薬剤による木部処理について検証しようと思います。
☆☆ このブログでは コメント、トラックバック大歓迎です。 ☆☆
コバヤシ建築が建てる「木の家」 【www.kigumix.com】では建築画像をどっさり公開中
投稿日:2008-05-15 Thu
■□ 蟻害対策は早期発見が第一 □■中学時代からの友人「M」が経営する美容院は、すでに他界している両親が店舗併用住宅として新築してから大きなメンテナンスをする機会もなく築35年以上経過している。重量鉄骨3階建である。ただし建物そのものを支えている鉄骨柱は4隅と中間部の2ヶ所のみで、外壁や内部間仕切壁は構造力学的には雑壁扱いの木軸構造である。このような作りは以前はよく行われ、大工さんが市街地での3階建て鉄骨造建物を受注すると、まず鍛冶屋さんに主柱と大梁を鉄骨で組んでもらい、後は大工さんが木材で肉付けしていくのである。
先週末、いつものように髪の毛をカットしてもらいに行くと、暫く前から店舗入り口付近の下がり天井から雨漏りしているので診て欲しいといわれ、日を改めて道具持参でその箇所を見せていただくことにした。その部位は約6年前の店舗内装リフォーム時に他社によりベニヤ下地にビニールクロスで仕上げてあるが、雨漏りしている周辺部はすでに湿気でかなり痛んでおり、クロスそのものは抗菌処理しているらしく色艶は損なわれていないものの、指で圧迫すると中が腐っているらしく容易にへこんだ。
天井裏に、もしかすれば先日来の雨漏りの水溜りがあると思い、恐る恐るドライバーの先で穴を穿つと驚いたことにそこからは働き蟻の大群が出てくるではないか。美容院の店先である。残念ながら蟻が出てくるときの画像はない。きれいした後で大きく開口したのがこの次の画像である。
明らかに白蟻による蟻害を受けている。恐らくシロアリが食い荒らした後に働き蟻が巣を作ったのだろう。これが建物のあちこちに広がっているとしたら構造上の大問題である。このような鉄骨造の建物内で、しかもこんな高所に蟻の巣があること自体にびっくりしてしまったが、その理由を考えると、この建物周りはほとんどコンクリートで覆われており、土壌が露出した箇所が少なく、蟻はその巣作りができる場所を探し回った挙句このような場所に営巣したのではないか。
以前、島田市の駅通りに面している仕出し弁当屋さんの店先に、鉄骨造建物に接して作った花壇があり、そこから白蟻が建物側に侵入して蟻害を請けていたケースがあった。このときもやはり外装材はタイルで築30年は経過していたから全く同じようなケースである。このときの処置としては白蟻が棲息していたと考えられる花壇を撤去し、外装タイルを全面的にサイディング材に張り替えている。
このように都市部で起こる蟻害の方が致命的な内容になる傾向があるかもしれない。それはその部位が隠蔽されており、メンテナンスあるいは点検不可の箇所で発生、進行している場合が多いためであろう。
次回の記事ではシロアリ対策についての誤解また最新の事情を調べてみた。
☆☆ このブログでは コメント、トラックバック大歓迎です。 ☆☆
コバヤシ建築のホームページもご覧ください
△ PAGE UP
