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東海地震対策 決して地震多発地帯ではない自覚をしよう
■□ 地域の地震歴を学校教育カリキュラムへ取り入れろ □■

今年東北地方で発生した岩手・宮城内陸地震と岩手県沿岸北部地震では共通して、地震波のうち最も強い波は周期1秒〜0.1秒と短かく、いわゆる「キラーパルス」、木造家屋などが壊れやすい周期ではなかったったことが被害が少なかった主因だと考えられています。
そのため、震度6強で想定される被害よりもはるかに少ない被害ですんだ、というのはこのブログでも繰り返し書いています。

また、これとは逆の発想として、震度を決定するアルゴリズムに問題があったので、これから気象庁では見直しをするということも前回記事にしました。これは制度上の問題でもあり、責任の所在など政治的な事柄をクリアーしていかねばなりません。

これら項目に関しては、共に市民としては受身の立場であります。地域防災または減災というレベルで我々が参加しうるのは、その地域での地震暦を基本情報として、実際にこの静岡県で予想される東海地震に対し、防災意識を高揚させる以外に手立てはありません。

■□ 地震歴が如何に重要か □■

2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震の震源域周辺で起きた同規模の地震を調べてみると

1896年の陸羽地震(M7.2)
1897年の宮城県沖地震(M7.4)
1936年の宮城県沖地震(M7.4)
1962年 宮城県北部地震 M6.0 - M6.5程度
1978年の宮城県沖地震(M7.4)
1996年 宮城県北部地震 M6.0 - M6.5程度
2003年 宮城県北部地震 M6.0 - M6.5程度
2003年の東北地震(M7.1)
2005年の宮城県南部地震(M7.2)

などがある。

特に岩手・宮城内陸地震の2日前にあたる2008年6月12日は、1978年の宮城県沖地震からちょうど30年であったため、県主催の大規模な防災訓練や各学校・企業で避難訓練が行われた直後であった。この辺の被災者の方々の生の声をもっと報道していただきたかった。

また2008年7月24日発生の岩手県沿岸北部地震の地域においても13年前に三陸はるか沖地震を始め、過去に何度か災害に遭遇している。東北地方の住民の防災意識は総じて高く、それに対応するため堅牢な住宅が多いことも被害が少なかった一因として繰り返し報道されている。
大げさに言えば、その地域住民の遺伝子情報「DNA」に刻まれているといっても過言ではない。

■□ 転じて東海地方では? □■

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば
btn040-2.gif 東海・南海・東南海連動型地震

・1498年 明応地震:M8.2~8.4の明応地震(東海・東南海地震)発生後、南海地震が発生したと推定
     伊勢や駿河など広い地域に津波、死者3〜4万人。
・1605年 慶長地震:東海・東南海地震と南海地震が同時に発生したとみられるM7.9〜8.0の地震。
     地震動による被害は少なかったが太平洋岸で津波発生、死者1〜2万人。
・1707年 宝永地震:東海・東南海地震と南海地震が同時に発生したM8.6(日本史上最大)の地震。
     この地震の49日後に富士山が噴火し宝永山(火口)ができる。
・1854年 安政地震:安政東海地震(東南海を含む)が発生し、32時間後に安政南海地震が発生した。
     ともにM8.4。死者は合計で5,000人以上、余震が9年間続く。

このように約100〜150周期で巨大地震が発生しているわけだが、この後150年以上連動型地震は発生していない。また、東海地震も150年以上発生していない。

すなわち東海地方では、ここ150年間、耐震性能を保有していない建物が自然災害によって自然淘汰される機会を得ていない。
東海地震説によって、我々はあたかも地震多発地帯に住んでいるような錯覚を起こしているが事実は逆である。

同じくbtn040-2.gif 「地震の年表」が『ウィキペディア(Wikipedia)』から参照できるが、ここ東海地方はここのところ地震空白地帯だということがよくわかる。


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既存住宅の耐震改修 | 10:42:56 | Trackback(0) | Comments(0)
やはり波紋を呼んだ! 岩手県沿岸北部地震の震度報道
先週末のブログ記事では、今年東北地方で発生した2つの大地震での建築の損壊被害が少なかったという結果を受けて、来るべき東海地震に対する防災意識が甘くなってるのではないかと危惧して、この二つの大地震がどういったものであったのか、もう一度まとめてみました。今日は、前回の宮城岩手内陸地震に引き続いて岩手県沿岸北部地震を取り上げます。

※このたびの災害に対し、東北地方現地の被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。これからの地震防災に役立つよう話題に取り上げさせて頂いています。

■□ 岩手県沿岸北部地震 とはどんな地震だったのか □■

btn040-2.gif 岩手県沿岸北部地震 (主としてウィキペディアより情報を得て記事にしています。)

2008年(平成20年)7月24日に岩手県沿岸北部で発生した地震。同県洋野町において最大震度6強を観測し、東北地方の広い範囲で震度5弱以上の強い揺れを観測しました。被害の特徴として、同じ規模の地震と比較して、建物被害が少ないこと、また地震の揺れの特徴として、揺れの長さと揺れた
範囲の広さが挙げられます。

これは、地震の震源が108kmと深い深発地震だったのが原因といわれています。
ちなみに、関東地方の高層建築物では、もともとの地震波が関東平野の軟弱地盤によって増幅された長周期地震動の影響で、2分〜3分という長時間揺れが感じられたとの報告があったようです。

●被害の傾向

青森県、岩手県、宮城県を中心に、建物の天井落下、窓ガラスの破損、停電、断水、落石による道路の通行止め、列車の運休などの被害が報告されており、負傷者も出た。

被害の傾向として、家具の転倒などによる被害が見られなかった一方、避難時に転倒するなどして負傷した例が多かったことが挙げられる。

この原因として、揺れが長かったこと、深夜の発生であったことなどが指摘されている。
被害が少なかったのは、観測された地震波のうち最も強い波は周期1秒〜0.1秒と短かく、木造家屋などが壊れやすい周期ではなかったったことが主因だと考えられている。そのため、震度6強で想定される被害よりもはるかに少ない被害ですんだ。

●被害状況 2008年7月30日 (水)17時00分現在

内閣府がまとめた情報 によると、
死者…1人
負傷者…207人
全壊家屋…0棟
半壊家屋…0棟
一部損壊家屋…210棟
その他…0棟
被害総額…被害確認中
被害地域…岩手県と青森県中心に東北地方広域

●防災意識

この地域一帯は13年前に三陸はるか沖地震を始め、過去に何度か災害に遭遇していることにより、住民の防災意識が総じて高く、それに対応するため堅牢な住宅が多いことも被害が少なかった一因として挙げられている。

■□ 「震度と被害のズレ」の問題が表面化しました □■

この地震でも震度6強で想定される被害よりもはるかに少ない被害ですんだわけですが、震度と実際の被害が乖離していることについてはあちこちで波紋を広げているようです。

気象庁は各震度における被害状況の解説表(参考:震度)を見直す検討を行っていることが報道されています。
この件に関しての2008年7月26日の読売新聞の関連記事は早くも抹消されているのでキャッシュから再現して本文を引用しておきます。
それにしても読売はなぜこんなに速く記事を抹消してしまうのか?7月26日時点での読売の見解をデータベースとして残すことも報道の大きな役割だと思うのですが。これも大人社会の都合か・・・。

------- 以下引用 --------

震度と被害のズレ解消へ、気象庁が解説表見直し方針 読売新聞、2008年7月26日。

 気象庁は、震度から想定される震災被害の程度を記述した解説表の見直しに向け、検討を始める方針を固めた。

最大震度6強を記録した岩手県沿岸北部の地震では、震度6強で想定される「大規模な住宅被害」はなく、実態とのずれが生じたためで、想定被害像と実態が合致した的確な解説表にする。
 解説表は、過去の地震被害などをもとに10段階の震度ごとに、想定される被害をまとめている。震度6強は、「耐震性の低い木造住宅では倒壊するものが多い」と説明されている。
 しかし、今回の地震では25日夕現在で住宅の全半壊はない。6月発生の岩手・宮城内陸地震でも、震度6強を観測した震度計の周囲で住宅被害がなかったことが報告されている。建物を変形させて壊すことが少ない短周期の地震波が多かったためとみられる。
 気象庁は、解説表の見直しに当たり、新潟県中越地震(2004年)や福岡県西方沖地震(05年)など過去の地震における家屋の被害情報や地震波を再検証。建物が損壊する詳しい仕組みなどの研究成果も交え、適切な表現を検討する。
 震度は防災の初動体制をとるうえで重要な判断基準となる。同庁は「分かりやすく表現し、信頼される震度情報の発信を目指したい」としている。

------- 引用終わり --------

同様にこの件に関してTBSが番組で特集している。
リンクが切れる前にここへ抜粋引用しておきます

岩手北部地震 震度6強は本当か? btn040-2.gif 報道特集NEXT、TBS、2008年7月26日放送より。

------- 以下引用 --------

岩手北部地震 「震度6強」のナゾ

 7月24日未明に発生した地震はマグニチュード6.8、震源は岩手県沿岸北部、最大震度は「6強」を観測した。負傷者は約200人にのぼる。
 この地震は、大陸プレートの下に潜り込んだ太平洋プレートの内部で起きた。プレートに力が加わると、内部ではそれに反発する力が起きる。
その反発によってプレート内の断層が動き、地震を引き起こしたと見られる。
 震源の深さは108kmだ。深さが8kmだった「岩手・宮城内陸地震」(6月)に比べると、かなり深い地点で発生しているのが特徴だ。

 「震度6強」を観測した岩手県洋野町(ひろのちょう)を、地震災害と地盤との関係に詳しい、東北学院大学・吉田望教授と歩いた。
   
 中学校の体育館はガラスが何枚か割れ、壁の一部がはがれ落ちているが、倒壊するほどの被害ではない(洋野町立大野第一中学校)。

○東北学院大学 吉田望教授
「とても『6強』とは思えないような被害の少なさですよね。」
 吉田教授は、ある違和感を覚えていた。吉田教授は"震度6強の現場にしては建物の被害が少ない"と指摘する。
 気象庁によると震度6強の地震は、耐震性の低い木造住宅の多くを倒壊させるという。
木造建物の被害《震度6強》…耐震性の低い住宅では、倒壊するものが多い。耐震性の高い住宅でも、壁や柱がかなり破損するものがある。 (気象庁震度階級関連解説表より)

 今回、その「震度6強」を観測した震度計は岩手県洋野町の1台だ。役場の敷地内(洋野町役場大野庁舎)で、高さ1メートルほどの土手の上に設置されていた。

○東北学院大学 吉田望教授
「すぐ左側が少し低地に、1メートルくらいですが段差がある。そうすると、揺すられた時に左側のほうへ揺れやすい。そこを見ていただくと亀裂が入っている。それぐらい左側によく揺れたということで、(震度計を)真っ平らな地面に置いてある場合よりは揺れやすかったと。」

 しかも震度計周辺の土壌は…。

○記者レポート「非常に柔らかい土です。」

 震度計のすぐそばにある築年数約90年の木造住宅では、部屋の壁の一部が崩れた以外は家屋に被害はなかった。庭の鉢植えも倒れなかったという。倒れたのはフクロウの置物ぐらいだ。

 今回と同じ「最大震度6強」を観測した2007年7月の「新潟県中越沖地震」では、全半壊した住宅が7,000棟を超えた。

 しかし今回の地震では住宅の倒壊は1件も報告されていない。

○記者「実際に地震は『6強』あったんでしょうか?」
○吉田望教授「記録の話ですから、それを疑うわけではないが、『6強』をこの地域に適用していいかどうかという意味では少し疑問が残った。」

 岩手県洋野町の震度計が観測した「6強」という数値が、実態とかけ離れているのではないかと指摘する専門家は他にもいる。

○東京大学地震研究所 纐纈一起教授インタビュー
「今回、建物がそれほど大きな被害を受けなかったというのは、今回の地震の揺れの性質も一つの理由だと考えていいと思います。」

 ゆったりと動く周期の長い揺れは建物に大きな被害をもたらす。それに対し今回は周期の短い揺れだったため、被害が少なかったと見られる。
 
 さらに、現在全国に設置されている震度計には、こんな特性があるという。

○纐纈一起教授インタビュー
「今回の地震のように、周期の短い揺れに対して現在の震度計で震度を計算すると、どうしても大きめの数字になってしまう、というのはこれまでの研究でかなりわかってきている。それが原因となって震度の数字と被害の程度の乖離(かいり)が起こってしまったのではないかと思います。」

 一台の震度計が観測した「震度6強」。この数値が実態をはるかに超える被害のイメージを作り上げてしまったのではないだろうか。

------- 引用終わり --------

これは被害実態よりも震度値が大きく発表されてしまったため、いわゆる観光の風評被害が発生しているという論調だ。
私は逆にこの震度6強という公式の値がこの程度の被害しか及ぼさないというイメージが定着してしまったのではないかと、危惧している。

恐らく東海地震が心配される静岡県下において、多くの人々は今回安心感を得たと思う。報道は真実を伝えたというよりは、むしろ真実という幻想を創り上げてしまったのなのかもしれない。

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既存住宅の耐震改修 | 16:05:04 | Trackback(0) | Comments(0)
これでいいのか!? 静岡県民の地震防災意識
■□ 警鐘!東海地震の防災意識が緩んできている □■

今年発生した東北地方での巨大地震では比較的建物の被害が軽微だったと世間一般で評価されていますが、これを受けて東海地震に対しての防災に対する緊張感が少し緩んで来ているように感じるというのは、このブログでも繰り返し発信しています。

※このたびの災害に対し、東北地方の被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。これからの地震防災に役立つよう話題に取り上げさせて頂いています。

静岡県では 第3次地震被害想定として東海地震の被害予想を発表し、全県下の18.9%の地域で震度6強、1.7%の地域で震度7 と推定しています。さらに静岡県下の総建物棟数150万棟のうち 8.60% である 13万棟 がこの地震によって大破すると予測しているわけですが、このたびの東北地方の地震災害の被害状況と照らし合わせる限り、今後30年の間に87%の確率で起こるであろう東海地震でも大したことはなかろうというのが静岡県民の正直な気持ちかもしれません。

btn040-2.gif 「13万棟が大破 東海地震の被害予想は大げさか?」
というブログ記事の中で地震力が建物の損壊に繋がるかどうかを決める要素について書いていますが、その中で

●その土地の地震歴によって防災に対する意識が違う
●短期間の周期で大きな地震に見舞われている地域では建て替え率が高い、耐震改修率が高い。

が重要であるとしました。
そこで2008年6月14日に東北地方で発生した岩手・宮城内陸地震、同年7月24日岩手県沿岸北部地震についてもう一度まとめてみるとともに、これらの事柄も含め、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

■□ 岩手・宮城内陸地震 とはどんな地震だったのか □■

btn040-2.gif 岩手・宮城内陸地震 (主としてウィキペディアより情報を得て記事にしています。)

2008年(平成20年)6月14日 岩手県内陸南部で発生したマグニチュード 7.2 の地震。同県奥州市と宮城県栗原市において最大震度6強を観測し、両市を中心に被害が発生した。

●被害の傾向

建物の倒壊などによる被害が少なく、栗駒山周辺をはじめとした山体崩壊や土砂崩れ、河道閉塞が多かったことが指摘されている。これは地震動の周期が短く、木造住宅を壊す周期1秒前後の「キラーパルス」が少なかったために木造住宅の被害が少なかったこと、この地域では屋根に軽いトタンを用いている家屋が多いため、屋根による家屋の押し潰しが少なかったことが、地震の規模に対して家屋の倒壊被害を少なくしたのではないかと専門家が見解を述べている。

最大加速度 は防災科学技術研究所が岩手県一関市で観測したところによると 4022ガルでこれは日本国内観測史上最大値だった。地震波形から推定される変位は153cm(3次元方向の合成値)で、地震により観測点が1メートル以上移動したことになる。

●被害状況 2008年7月14日現在

死者:13名
行方不明者:10名
負傷者:448名
建物全壊:23棟
建物半壊:65棟
建物一部損壊:1,090棟
火災:4件

●被害金額 (7月11日現在)

宮城県 1198億9875万円
岩手県 294億4156万円
秋田県 26億4097万2千円

お金に換算すると、この地震で実に1500億円相当が失われた勘定だ。
これは新築3000万円規模の住宅5000棟分に当たる。
一方、東海・東南海・南海地震が同時発生した場合、最大で経済的被害が81兆円、死者が2万5千人に至ると国の中央防災会議では報告されている。
btn040-2.gif 資料参照

●防災意識

岩手・宮城内陸地震の2日前にあたる2008年6月12日は、1978年宮城県沖地震からちょうど30年であったため、同日に至るまで連日ローカルニュース内で防災特集が組まれていた。また同日には、県主催の大規模な防災訓練や各学校・企業で避難訓練が行われ、朝から晩まで新聞・テレビ・ラジオで地震対策の報道がなされていた。テレビでは夕方ワイド番組内で特集が組まれたり、夕方およびゴールデンタイムに全国放送の代わりにローカル番組の地震・津波特別番組を放送する局があったりした。

これは手塚治氏が30年前に描いた「ブラックジャック」の中で2008年の大地震を予言的中させて世間をびっくりさせたという記事でも取り上げている

●地震暦

この地震の震源域の周辺で起きた同規模の地震には、1896年の陸羽地震(M7.2)、1897年の宮城県沖地震(M7.4)、1936年の宮城県沖地震(M7.4)、1978年の宮城県沖地震(M7.4)、2003年の東北地震(M7.1)、2005年の宮城県南部地震(M7.2)などがある。また、1962年、1996年、2003年にはそれぞれM6.0 - M6.5程度の宮城県北部地震が発生している。

●地震予知

北上低地西縁断層帯は、16000年から26000年の周期の地震を発生させる断層とみられている。しかし、今回の地震が前回の地震からこれほどの期間はあいておらず、前回の地震が4600年程度前に起きているため、周期を見直す必要がある。なお、この周期の点からも気象庁は、今後30年に大地震が発生する危険が1%を切って予想していた。 

btn040-2.gif 地震の発生確率を調べる 地震ハザードステーション J-SHIS
※この中で海溝型地震の地震発生確率をクリックすると各地震の発生確率が表出されます。

次回記事では、引き続いて2008年7月24日に発生した岩手県沿岸北部地震についてもまとめ、東海地震に関する防災意識高揚に役立てようと思います。

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既存住宅の耐震改修 | 13:46:14 | Trackback(0) | Comments(0)
確率87%で当たる宝くじ
■□ 東海地震今後30年間で87% 信憑性はどうなのか? □■

「東海地震がこれから30年以内に発生する可能性は87%」とよくいわれます。
これって信憑性があるんでしょうか。
この情報の発信元なんですが、巨大地震が発生する確率を公式に発信しているサイトはなかなかディープで見つけるのが大変でした。静岡県の防災パンフレット、耐震改修用の建材を扱うメーカーのカタログなどに多く見受けられるんですが・・・。国の研究観測チームがその大本の情報を発信しているはずです。

文部科学省に設置に設置された政府機関でbtn040-2.gif 地震調査研究推進本部というものがあります。

ここに「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」と称して「東海・東南海・南海地震が連動した場合の人的・物的被害の大幅な軽減に質する」ためのbtn040-2.gif 資料があります。

ここで以下の地震の発生確率に関する記述を見つけました。

===== 以下引用 =======

東海・東南海・南海地震の今後30年以内の地震発生確率は極めて高い(想定東海:M8.0程度 87%、東南海地震:M8.1前後60〜70%程度、南海地震:M8.4前後50%程度)。(※1)

東海・東南海・南海地震が連動して発生する可能性に着目した研究は、殆ど行われていない。

○ 一方、東海・東南海・南海地震が同時発生した場合、最大で経済的被害が81兆円、死者が2万5千人に至るとされ、まさに国の存立を揺るがしかねない事態となる恐れ。(※2)

(※1)地震調査研究推進本部地震調査委員会長期評価より
(※2)中央防災会議報告より

===== 以下終わり =======

(※1)にあるように、この資料では地震調査研究推進本部地震調査委員会長期評価がこの地震発生確率の情報の発信元としています。
これをたどって見つけたのが次のサイトです。

btn040-2.gif 地震ハザードステーション J-SHIS

地震調査研究推進本部地震調査委員会において作成が進められていた「全国を概観した地震動予測地図」が平成17年3月23日からリアルタイムに公表されています。

この中で海溝型地震の地震発生確率をクリックすると各地震の発生確率が表出されます。
これはサイト上で動くアプリケーションとしては出来があまりよくありませんね。地震研究者や行政の方たちにとってはよいかもしれませんが、我々一般人にとっては使いづらいし、こんな資料が公に発信されていることすら知らない人がほとんどでしょう。

私はたまたま住宅建築に関係する仕事に従事していて、既存住宅の耐震化を皆さんにお勧めしている立場ですが、地震防災の啓蒙というのはほんとに難しいと肌で感じています。
微力ながら夏の炎天にもめげずにがんばりますので、行政の皆さんもがんばってください!

東海地方に関係する地震について表にするとこんな感じです。

  平均発生間隔 最新活動時期 30年発生確率 50年発生確率 マグニチュード
 想定東海地震 118.8年 (参考値)  150年前 (参考値) 87% (参考値) 97%(参考値) M8.0程度(参考値)
 東南海地震  86.4年  1944年12月 60%〜70%程度 90%程度 M8.1前後
 南海地震   90.1年 1946年12月 50%程度 80%〜90% M8.4前後

 
これらを地図にまとめると次のようになります

東海地震 発生確率 >


■□ 生涯80年間で交通事故に出会う確率は47% □■

では、この東海地震の発生確率が87%というのは実生活上高いのでしょうか?それとも低いのでしょうか?皆さんはどのように感じましたか?
この数値をどうとらえるかというのは住宅の耐震改修プロジェクトを進める上で重要なポイントです。

たとえば人間ドッグで医者が「あなたの血液検査の結果をみるとタバコをやめなかったら87%の確率で肺がんになります。もう少しですよ。」といわれたらどうでしょう?なぜ90%ではなく半端な87%なんだという疑問もありますが・・・。あるいは大学入試の模擬試験で「京都大学87%合格の確率」だったら。

いきなり余談ですが、実は公安上要職に付いている人はかなり現実的な災害予測情報をつかんでいるので、耐震改修率が非常に高いという、うわさが飛び交っています。このあたりはまるでテレビドラマのようですが、あながち制度的には当然かもしれません。下世話は話で申し訳ありません。新型鳥インフルエンザだってワクチン投与の優先順位が付けられていますし・・・。パンデミック、怖いですね。にわかには信じがたいことが次から次へです。

国土交通省が新たな道路政策を諮問した社会資本整備審議会の会議の場で、年間の交通事故死傷者数(118万人)を日本の総人口 (1億2692万人)で割った「1年間で事故にあう確率」を0.9%と算出しました。
そして一生を80年と仮定し、「1年間に事故にあわない確率」を1から引いて80乗したところ、その結果は53%ということです。

生涯80年間で交通事故に出会う確率は約2分の1である 47% 
btn040-2.gif 横浜市でも同様の確率統計を発表しています。

この資料から今後30年間に交通事故に遭遇する確率は24.5%であることが分かりました。

少なくとも理論上の話をすると、交通事故の保険をかけるより、耐震改修へ予算を回した方が確率的に有利であることが分かります。 この論旨、駄目ですか?

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既存住宅の耐震改修 | 15:55:30 | Trackback(1) | Comments(1)
1976年東海地震説発表 吉田拓郎・かぐや姫がつま恋で野外フェス
■□ 当時の私は新聞の切り抜き記事を小学校教室へ貼り出していた □■

地震力が建物の損壊にどのように繋がっていくかという原理的な話が続いています。抽象的な話になりますから分かったような分からないような記述が続いて退屈な方も多いことでしょう。
実は、なぜ私が「地震」に対しここまで執着するかというと、ちょっとした個人的な訳があります。

今から32年前の1976年、当時東大理学部助手であった石橋克彦氏(現在は神戸大学理学部の教授)が「駿河湾地震は1944年の東南海地震の割れ残りで、すぐにも起こるかもしれない」といういわゆる東海地震説を提唱しました。これから、いわゆる東海地震に対しての地震予知とその防災に関して静岡県に過分な予算が投入されるようになるのですが、その発表当時、私は静岡県西部地区に位置する掛川市という地方都市に住む小学生(6年)でした。掛川市は大型野外フェスティバルの草分け的象徴である「つま恋」があるところで、ほんの少し有名な所です。1975年に「吉田拓郎・かぐや姫コンサートインつま恋」が行われましてね、なんせ都会の人間5万人が人口7万人足らずの街へやってくるというので、このときは外出禁止令が学校から出されたほどでした。まったく、おおらかな時代でしたよ。

コンサート イン つま恋 1975コンサート イン つま恋 1975
(2005/08/02)
吉田拓郎・かぐや姫吉田拓郎

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私は社会での出来事などに全く興味はありませんでしたが、この東海地震説が発表された新聞記事をたまたま目にして、この新聞記事を切り抜いて私が通っていた掛川市立第一小学校の6年雪組(宝塚歌劇団のようだ。確か雪組、月組、花組、星組と一学年に4クラスあった)教室の掲示板に張り出したんです。あれから、もう30年以上経つんですね。

第一次石油ショックや預言書である「ノストラダムスの大予言」が流行るなど終末観が世間に充満していた時期でもあり、こういうクライシスをかっこいいと当時の小学生として感じていたんでしょう。
前後して1974年 伊豆半島沖地震 - M 6.9。1978年 伊豆大島近海地震 - M 7。さらに1978年には宮城県沖で地震があり建物の7400戸が全半壊しています。

その記事を張り出した翌日、その掲示物をさっそく社会科の小関先生が目に留め「これは誰が貼ったんだ?何!そうか、あの問題児の太田か。」ということになったんでした。まあ、それから「お前はエライ」と必要以上に褒められたわけですが、実は裏話があるんですよ。

この数日前に私は ちょとした悪戯をして(何をしたか覚えてませんが)それをいさめる小関先生に口応えをし、怒りを買ってクラスメートの面前で往復ビンタを喰らったといういやな経験があります。これと同じような経験を中学2年の時にもしてますが、この間私はぜんぜん成長してなかったということでしょうか・・・。私はこういう「教育的しつけ」を否定するものではありませんが、これらの原体験がトラウマとなって、いまだに男性の学校教師全般の人間性を基本的に信用出来ません。申し訳ないことですが・・。

その後、中学3年の夏休みの研究課題では「東海地震のメカニズムと防災」といったものを友人と取り上げ、確か静岡県から賞を頂いたと記憶してます。

これって、なんでしょうね?あれから30年間、マイナスの過去の原体験を補填してるんでしょうか。

■□ 災害予測震度が小さくとも安心してはいけないという □■

石橋克彦先生の東海地震説は30年経っていろいろ物議をかもしているようですが、とりあえず地震発生のメカニズムと切迫性についての当時の解釈が結果的に間違っていたとする考えを本人が明らかにしているようです。これについては、静岡新聞と石橋先生の間で見解の相違が生じていて、氏のブログで2006年3月27日付静岡新聞1面記事 <東海地震説に「間違い」> は「誤報」であるとしています。
btn040-2.gif  サイトを参照する

さて、地震が建物に及ぼす力というものをもう一度考えてみましょう。
ニュートン力学の「力=質量×加速度」という公式から導き出されたことは、「地震によって生じた加速度」を調べれば、各建物に作用する地震力が分かるということでしたね。地震観測では、地面の移動量(変位量)を測る「地震計」とは別に、加速度を測る「震度計」も使われています。
これが前回の記事でした。

我々が耐震的な設計検討を行う場合も、この水平方向の地震加速度を基にして考えます。
要するに地震力というのは車に乗って急発進、急ブレーキ、方向転換を極めて短時間に繰り返しているようなものと考えると分かりやすいかもしれません。

地震観測所ではこの地震加速度を観測することにより「震度階級」数値化しているわけですが、単純にこの加速度を震度階級に置き換えているわけではありませんでした。
「震度階級」の値と地震による被害が極力一致するようにいろいろ工夫されているのです。
最大加速度を震度に単純に換算するのではなく、加速度記録に低周波数側を強調するデジタルフィルター処理を施したうえ、最大値そのものではなく0.3秒以上継続する値を使う点などです。

加速度は通常 gal(ガル)という単位であらわしますが、これは「cm/sec2」のことです。つまり、1gal とは「 1 秒間に秒速 1cm だけ速度が増加する」ことです。これは地球の重力加速度を基準に考えるとと分かりやすいですよ。
地球の重力加速度は約 980gal ですが、これが 1G(ジー)です。200gal は約 0.2G で、つまり「地球の重力加速度の約 1 / 5 の力」ということになります。

国土交通省国のウェブサイトに、「震度と最大加速度を厳密に対応させることはできないが、概ねの値として」以下の表が載っています。

震度階級  最大加速度( gal )
4      40 〜 110
5弱     110 〜 240
5強     240 〜 520
6弱    520 〜 830
6強    830 〜 1500
7      1500 〜

これを見る限り、阪神淡路大震災の819galという加速度は震度6弱に当たることになってしまいます。やはり何かズレてますね。

地震自体はある程度の時間揺れても、最大加速度が生じるのは0.02から0.1秒前後と非常に短い周期帯(一回の揺れの時間)の揺れなので、加速度が大きいのは一瞬だけの事になります。
ですから建物の耐震性を考える場合は、加速度だけではなく「地盤の揺れ方周期」と「建物の固有周期」等を併せて検討していきます。これが繰り返し記事にしている「キラーパルス」の件ですね。
加速度の想定は、建物の耐震性を検討する際の重要な指標のひとつに過ぎないということなのです。

災害予測震度が小さくとも安心してはいけないという理由をやっと説明できました。

それでは東海地震ではこれから30年以内に発生する可能性は87%といわれています。この可能性の値は果たして実生活上高いのでしょうか?それとも低いのでしょうか?
次回記事で考えてみようと思います。

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既存住宅の耐震改修 | 14:32:38 | Trackback(0) | Comments(2)
知ってますか? 地震は「地震計」と「震度計」で観測されている
「震度(階)」とは気象庁が発表している地震の揺れたかをあらわす指標値なんですが、1995 年までは気象庁職員の体感で決めていた主観による「印象評価」でした。阪神淡路大震災を契機として1996 年にやっと震度計により観測するシステムに切り替わったということを前回記事で書きました。
では観測所では実際に何を測っているのでしょう?

■□ 実は「地震計」と「震度計」がある □■

地震が発生すると震源で解放されたエネルギーが振動として伝わります。これが地震波です。地震計は、この地震波による地表の振動を3次元方向について観測するための計器です。

地震計では質量が大きければそこにとどまろうとする「慣性の法則」を利用して、地面の動き(変位)を記録します。地震計の指針の先がペンになっていて自動筆記していく様子は報道画像などでよく見かけますが、あれは慣性の法則を利用しているのです。
ですから、地震計の中の重り(振り子)部分の固有周期を十分長くすることで、地面の動きに追従してしまわないようにしてあります。確かに地震計では地面の移動(変位)量を測定していました。

    ※固有周期って分かりにくいですね。こちらの記事を参照してください。

さて、ここからがややこしいのですが、地震観測では、地面の揺れ方を測る「地震計」とは別に、地震による揺れの度合いを算定する「震度計」が使われています。震度計(加速度計)は地震計の仕組みと一緒なんですが記録紙には、振動の距離ではなく、振動の加速度が記録されます。
では、なぜ加速度を観測するのでしょう?

■□ なぜ地震の加速度を観測するのか? □■

ニュートン力学では「力=質量×加速度」という公式の通り、加速度が大きいということはそれによって生じる力も大きくなります。「地震によって生じた加速度」を調べれば建物に作用する力が分かるという理屈です。そこで地震では最大加速度が問題とされるのです。

もともと我々建築家が耐震設計上で問題としたのは、ほとんどの場合地震によってもたらされる水平方向の加速度でした。最近では、免震や制震といった概念が一般化して、この状況が大きく変わってきたわけですが、それは皆さんもご存知のとおりです。

前述のように加速度の想定は、建物の耐震性を検討する際の重要な指標のひとつとなっていますが、これはあくまで原則です。震度階級と地震による被害が一致していないわけですから。

その辺を次回記事で、もう少し掘り下げてみましょう。

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既存住宅の耐震改修 | 11:37:31 | Trackback(0) | Comments(0)
13万棟が大破 東海地震の被害予想は大げさか?
■□ 静岡県下の1.7%の地域で震度7が予想されてます □■

先週末は静岡県の「耐震診断補強相談士」の資格取得講習会で行ってきましたが、その模様はすでに記事にしました。そこで得た新しい情報はまた改めて耐震改修の話題のおりに詳しくお伝えしようと思います。

さて先週から数度に渡りお約束していた「震度」階級の話題を今日から記事にしようと思います。
すでに何度か話題にしていますが、同じ大規模地震でも被害状況が大きく異なるというのは、1995年の阪神淡路大震災と今年起きた岩手宮城内陸地震、また岩手北部地震を比べてみてもよくわかります。これは、震度とマグニチュードがほぼ同じくらいだから、単純に同規模というふうに勝手に決め付けているわけですが、実情はもっと複雑です。

例えば建物の損壊に繋がるかどうかを左右する要素はいくつか考えられます。

●地震波にキラーパルスと呼ばれる地盤と建物が共振作用を及ぼす成分がどの程度含まれるのか
●その土地の地震歴によって防災に対する意識が違う
●短周期で大きな地震に見舞われている地域は耐震改修率が高い。建て替え率が高い
●人口密度、都市化率、加密度の違い
●地盤液状化の問題

昨今の東北地方での巨大地震では比較的建物の被害が軽微だったので、東海地震に対しての緊張感が少し緩んで来ているように感じます。
静岡県ではbtn040-2.gif 第3次地震被害想定として東海地震の被害予想を発表していますが、全県下の概要として震度6弱地域を 74.4%、震度6強を 18.9%、震度7を 1.7% と推定しています。 
さらに静岡県下の総建物棟数150万棟のうち8.60%である13万棟が地震動及び地盤の液状化による被害で大破すると想定しているわけですが、本当にそんな被害になるのか?という疑問が当然湧き上がっています。「この地域では震度6強の強い揺れが予想されています」といっても説得力に欠ける状況なのです。

そもそも地震の「震度」階級表示はどのような仕組みで決められているのでしょうか?災害性を正当に数値評価できるのでしょうか?

■□ 「震度」は十数年前までは観測員の主観で決めていた □■

地震を語るとき、「震度」と「マグニチュード」という概念が必ず出てきます。「震度」は観測地点の揺れの大きさですし「マグニチュード」は全体的な地震エネルギーの大きさというのはよくわかる説明のような気がしてました。ところが、これが実際の被害の大きさと一致するかというと、あながちそうではないようです。では揺れの大きさを表す指標「震度」とは一体何なのでしょう?誰がどういう基準で震度6と震度7の違いを見分けているのか?

実は、「震度階」とは気象庁が発表している地震で、どれぐらい揺れたかをあらわす指標値なんですが1996 年までは、この値は気象庁職員の体感で決めていた主観による「印象評価」でした。人間の体感や室内の様子,周囲の状況などの観察結果に基づいて測候所の職員が総合判断していたのです。しかし,このような震度の決め方には, 人間の主観が入る、震度の決定に時間がかかる、震度報告の地点数が限定される等の問題がありました。

そして阪神淡路大震災の翌年である1996 年にやっと計測震度計により観測するシステムに切り替わり、計器による自動決定の方式、現行の客観的な震度階(10 段階)の分類になったわけです。これは驚きです。つい最近の話ではないですか。

▼震度階級のイメージ 気象庁のホームページから引用
気象庁による震度階級イメージ

btn040-2.gif 気象庁震度階級関連解説表

地震計でその揺れを測って、震度いくつなのかを自動的に決定しているということですが、地震計では実際何を測っているのでしょうね?
こんなことを疑問に思っているのは私だけでしょうか?何か分かっているつもりになってしまっているような気がしてならないんですよ。
地面が動いた距離(変位)を測っているって?本当にそう思いますか?

次回記事で、もう少し詳しく調べてみましょう。

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既存住宅の耐震改修 | 18:35:34 | Trackback(0) | Comments(2)
実物大住宅破壊実験の動画 耐震診断講習会 坂本功氏
■□ 静岡県の耐震診断補強相談士の資格講習 □■

耐震診断補強相談士 資格講習会 静岡県20080801今日は静岡県の「耐震診断補強相談士」の資格取得講習会へ参加してきました。昨日お約束した「震度」階級の話題はまたまた延期です。ごめんなさい。

参加人数は約300名。建築に限りませんが景気悪いですから営業戦略上欲しい資格ということでしょうか?
盛況でした。それとも東北地方で繰り返す大地震の影響で、次は東海地震か?という不安の表れなのか。


今回、新しい情報もいろいろ入手しましたが、それは追々お伝えすることとして、今日の講習会の模様を少し書きましょう。講師の先生には、日本の木造建築構造の権威である坂本功氏もいらっしゃいました。現在、慶応大学で後進を育てていらっしゃるそうですが、いかにも大学で勉強を教えているといった感じの学者然とした方でした。ネットで氏を検索すると論敵も多いことがわかって、なるほど権威者というのも大変だななどとも思ってしまうわけでした。

■□ 権威者である以上に説得力のあるものとは何か? □■

坂本先生の講義で、いくつか印象に残ったことをここに記しておきます

●よく言われることだが建築基準法は耐震性能に関しては最低基準をうたっているに過ぎない。
●1995年の阪神淡路大震災のときの地震波はこの最低基準の想定の1.5〜2.0倍であろうと個人的には思っている。
●伝統的工法(田の字型間取りで壁が極端に少ない近代以前の木造のつくり)では、地震波のエネルギーを節点でうまく吸収する優れた構造だが、理論、実験、地震による被害と、そのすべてにおいて、いわゆる現代の在来軸組み構造にくらべ不利であることが残念ながら分かってしまった。
●耐震診断では震度6強から震度7の地震波を想定してその評点を決めている。実は診断上「一応倒壊しない」とされる評点1.0の耐震性能では阪神淡路クラスの地震波で倒壊してしまう。相当余力を持って耐震改修計画をしたほうが良いと思われる。

以上のように、坂本先生は総じて「耐震基準がまだまだ甘い」と考えていらっしゃるようだ。

さらに驚いたことには、このブログで繰り返しお伝えしている実物大振動台実験施設「E−ディフェンス」での築30年程度の木造住宅の破壊実験だが、なんと坂本先生がリーダーになって進めたというではないか。やはり、理論とペーパー上のデータだけでは説得力が欠けるというのは、このご本家自身が一番気にしていたらしく、この実験の模様の動画を繰り返し流したのが象徴的であった。私の主張は正しかったのだ。ばんざーい。

この実験の詳細な説明をご自身の言葉でリアルタイムにきけたのは本当にラッキーであった。あの場にいた300人のうちで私ほど感激したものは他にいまい。

●この実験で用いた地震波は阪神淡路の震災時に採取されて物で、それを3次元で再現しています。実は耐震補強した住宅と、されてない住宅を並べて実験しましたが、補強されたものも倒壊するのではと心配でした。
●耐震改修されていないものは耐震診断の評点0.5です。一方、改修されたものは評点1.6です。阪神淡路の揺れというのは、先ほど申しましたとおり、1.5倍から2.0倍のエネルギーを持っていると考えますので評点1.6といえども倒壊する可能性はあるわけです。
(この間にもビデオデータは繰り返し流され、画面上の住宅は土煙を上げて倒壊を繰り返している)
●この揺れの中で7秒で倒壊に至ってます。その短時間で、逃げれると思いますか?建物が完全に倒壊に至らない耐力を持つことが大切なのです。

今日はここまでです。来週またお目に掛かりましょう。

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既存住宅の耐震改修 | 23:17:02 | Trackback(0) | Comments(0)
朗報!無償で利用できる地盤情報がネット解禁
■□ 注目!国土地盤情報検索サイト「Kunijiban」の試み □■

前回記事では、公共性の高い良質の情報がせっかく発信されていても、第三者による二次利用を制限されてるため本来の目的である防災政策の達成率が低いのではないかということを話題にしました。

これに対する一つの方向性として参考となるのが次で紹介するサイトです。実用できる地盤情報を渉猟していて見つけたものです。ネット情報が氾濫していて、こういった情報源になかなか出会うことが難しくなってきています。ぜひとも行政の中で横のつながりを密にしてもらい、このような試みを広げてもらいたいものです。国益に直結するはずです。まだ試験段階のようですが大変期待しています。

btn040-2.gif 国土地盤情報検索サイト「Kunijiban」

         このサイトでは国土交通省の地盤情報を検索することができます

☆☆☆☆☆☆☆☆ 以下Webからの引用 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

このサイトは国土交通省・独立行政法人土木研究所・港湾空港技術研究所が共同で運営し、土木研究所が管理する、国土地盤情報検索サイト "KuniJiban"です。このサイトでは、国土交通省の道路・河川事業等の地質・土質調査成果であるボーリング柱状図や土質試験結果を検索し閲覧することができます。これらの地盤情報を広く一般に提供することにより、国や自治体間における社会資本整備の効率化のほか、環境保全や災害対策等に役立つことが期待されます。

平成20年3月28日から試験提供するのは、関東地方整備局と九州地方整備局管内の約2万7千本のボーリング柱状図と土質試験結果一覧表です。平成20年度以降に他の地方整備局でも順次公開する予定です。

〜 略 以下抜粋 〜

(サイトの)利用規約

第2条(権利の帰属)
本サイトのウェブサイト、ソフトウエア、データベースの知的財産権は、作成した各機関に帰属する。ただし、個別のボーリング柱状図および土質試験結果等の地盤情報に著作権はないものとする。

第3条(利用許諾の内容)
国土交通省等は、本利用規約に定める条件のもとで、本サイトで地盤情報を検索及び閲覧すること、ファイルをダウンロードすること、及びボーリング柱状図や土質試験等の地盤情報を非独占的に閲覧、複製、頒布、貸与及び販売することを許諾する。

第4条(利用の制限)
法令・条例、および公序良俗に反する本サイトの利用は、いかなる方法、目的においても禁止する。
利用者は、ボーリング柱状図や土質試験等の地盤情報を、第3者に対して閲覧、複製、頒布、貸与及び販売する場合(電子的にあるいはネットワークを介して行う場合も含む)は、国土地盤情報検索サイトにある地盤情報であることを表示する。 利用者は、国土地盤情報検索サイトより得られた地盤情報に対して、著作権を設定してはならない。

本サイトへのリンクについては特に手続き等を要しないが、リンク先をトップページ「http://www.kunijiban.pwri.go.jp」に設定する。この「利用規約」を表示しないリンクは禁止する。

☆☆☆☆☆☆☆☆ 以上 引用終わり ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

お約束している「震度」階級の話題へ、なかなかたどり着けませんね。
話題の内容が濃いので頭の中で咀嚼するのに時間が掛かってます。それに付随する資料も膨大に膨れ上がり、まとめるのが大変な状況に追い込まれていました。物理の夏期補習のようになってきています。次回記事で取り上げれるとよいのですが・・・。

明日は静岡県の「耐震診断補強相談士」の資格取得講習会で行ってきます。その模様はまた詳しくお伝えしようと思います。

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既存住宅の耐震改修 | 10:28:53 | Trackback(1) | Comments(0)
知ってる?防災情報の二次利用が制限されている
■□ 耐震診断へのリアクション □■

最近では、来るべき東海地震に備えて築20年以上経っていると思われる木造住宅のお宅へ、耐震診断をおすすめしながら回らせて頂いているわけですが、お客さんにあるパターンが見えてきます。

・アクションを起こすことを「楽しみ」に転化することが出来る人で、積極的に耐震改修まですでに済ませた方
・大地震に対し漠然とした不安を抱えつつも、日常生活に埋没して新しい情報、チャンスを閉ざしてしまう方
・住まっている建物が明らかに耐震性能を有していないと自覚しており、ゆえに積極的にこの話題を遠ざける方

そして、結構多いのが次のような方です

・子供が同居してくれれば、新築建替えを考えたい。年寄り単世帯のままなら既存の建物を耐震改修をしたい。

地方行政による住宅の耐震改修事業が遅々として進まない状況が飲み込めてきます。
人は必要に迫られるか、あるいは将来に向け具体的なメリットがイメージできないと消費までに至らないものです。

私が危惧するのは、最近東北地方で発生している大地震で、その規模と揺れの大きさに対し住宅の損壊被害が少なかったため、その結果を近い将来予想される東海地震での被災イメージへそのまま投影している人が多いのではないかということです。
これはこのブログでも繰り返し発信しています。

■□ 思い切った情報公開 リンクフリーは実現できないのか! □■

恐怖を煽って、需要を作り出すのは不本意ですが、行政も同様にこのあたり大変神経質になっています。
たとえば、静岡県はインターネット上に東海地震の各市町の損害予想をかなりのページ数を割いて情報発信していますが、そのデータの民間利用を許していませんし (記事リンク)
btn040-2.gif 静岡県地震防災センター 災害予測を調べるには市町別被害想定(東海地震)のページを参照して下さい。第3次地震被害想定 - 市町別被害想定 -のページです。 

、さらに神戸市の「e-ディフェンス」施設での築30年既存木造住宅の実大震動台破壊実験の動画映像もネット上で公開されていますがそのデータ利用も出来ません。 (記事リンク)
btn040-2.gif 兵庫県耐震工学研究センター

これらのデータは個人が防災と実生活を結びつけるよい動機付けになると思うのですが、とにかく制度的にいまだに保守的で、公の情報を悪用をさせない仕組みばかりが先行している感じです。
このあたりは「WEB2.0思想」がしきりにいわれている現在の情報市場の世界と断絶の感がありますね。btn040-2.gif 「E-JAPAN」構想はどうなってしまったんでしょうね?

さらには私は8月1日に静岡県の耐震診断相談士の資格講習を受ける予定ですが、その申請手続き上の注意書きにも「静岡県耐震診断補強相談士の登録証」を営業行為につかうことは禁止されいます、と明記されています。言っていいですか?ドッチラケです。 btn040-2.gif 石川嘉延静岡県知事を悪く言いませんが、副知事にカルロスゴーンを人材派遣してもらった方がよいのではと思ってしまいます。(日当が破格でしょうけど。)
とにかく、こういうものを悪用するような人間はいくらでも居るわけで、そいつらのレベルにいちいち照準していてはいつまでたっても日本がよくならないと思うのですよ。みなさん、どう思いますか?

「震度」階級の話題は次回記事で取り上げます。

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既存住宅の耐震改修 | 15:27:28 | Trackback(0) | Comments(0)
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