投稿日:2009-07-03 Fri
■□ 生物システムを模する行為 □■「家」という「ハード」を哲学的にいうならば「身体」の延長なのかもしれない。
あえて
「甲殻機動隊」風に表現するならば生身を補完するための外骨格である。土台、柱、梁の構造体はまさしく「骨」であるし、外壁、屋根などは「皮膚」に相当する。水分、栄養を取り込んで各所へ運ぶのは給排水配管であるし、電気通信ケーブルはさしずめ「神経系統」だ。肝心の脳髄はというと、これは兜甲児がホバーパイルダーに乗って
パイルダーオン!というわけにはいかないので施主に住んで頂く。今回の記事ではちょっと思い切ったことを話題にするつもりで、最初に軽いノリでおちゃらけておいた。
さて、何かといえば住宅建築工事の各工事における責任の所在である。
一般消費者の皆さんにはブラックボックスである領域のことをあえて話題にしてみようと思うが、記事の前半と後半であまりに温度が変ってもいけないだろうと怖気づいた。そんなかしこまることもないのだろうが、せっかく前半がうまくまとまったのだから、後半は次回記事にしよう。
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投稿日:2009-07-02 Thu
■□ 木目を活かして美しく塗装するために □■塗装について考察記事が続いている
木部を着色塗装した場合、なぜ「色ムラ」になるのか。
これは20年以上前から考えていることではある。
現場での建築塗装に関していえば、これといった決め手がないのが実情だ。
あるいはあるのかもしれない。
このテーマは掘り下げていかねばならない。「行かねばの娘」である。
Youtubeより「イパネバの娘」の動画はこちらからこの木材に着色塗装した時に発生する「色ムラ」の原理は、いろいろ考え続けた結果おおむね次のようである。
「色ムラ」は当たり前だが色の濃淡のことである。なぜ熟練した職人でも均質に色がつかないのか?
これには実は木材の素材としての理由があった。
木材は植物として成長するために水、養分を各部分へ運ぶための管がある。この管を導管、師管と呼ぶのは中学校の理科で習ったことだ。覚えていらっしゃるだろうか。この木材の断面からこの管の中に着色剤が入り込んでいくことによっていわゆる着色がなされる。
一方、海の青さを思い浮かべて欲しい。
水面から海底までの深度があるほうがより濃青色になるのは直感的に判る。
大きな地図で見る
要するに着色剤が木部の深いところまで浸透したところは色が濃く、浸透しにくいところは色が薄くなる。
だから木材の主に導管(水を運ぶための太い管)が、均質に分布していない場合、色ムラにつながる。これは塗装職人さんが丁寧に塗るかどうかという問題とはまったく別の話で、木材の持つ素材の性質をどのように均質化させればよいかというノウハウとか知識とかの問題になりそうだ。
現場では、色付けしてもいい樹種と、色むらが起こりやすいから色付けを避けたい樹種が厳然としてあるのだが、その辺の説明がお客さんに十分なされていないと思わぬトラブルにも発展することがあるので慎重さが必要だ。
さて、大切なのはこの技術的な問題を解決する方法を模索していくこと。
●ハウスメーカーのように印刷技術を使ったシート貼り建材を利用する
●コストは掛かるが家具塗装できるものは塗装工場へ持ち込み、吹き付けなどの方法をとる
●色むらを防止するような下塗り材があるか絶えずトライアンドエラーを繰り返していく。
現場での塗装作業が合理的でコストアップに繋がらないようにしていくのはもちろんである。
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やり方がフェアでないような気がしますが皆さんどうでしょうか?
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投稿日:2009-07-01 Wed
■□ もっと家作りを愉しもうよ □■木部塗装に関しての記事が続いています。
「オイルフィニッシュ」とは塗装方法の種類の名前です。
直訳すれば「油を塗って終わり」ということになり、一巻の終わりです。そんな乱暴なと思う方はもう少しお付き合い下さい。
塗装には表面に塗膜を形成するものと、そうでないものに大別されます。
古い言い方ですが、塗膜を形成する塗装には「ニス」「オイルペンキ」などがあり、それらは代表選手です。木材の表面を保護するのがその役割とすれば硬い塗膜を作った方が長期的に有利です。一方塗膜を作らないものは厳密ではありませんがワックスやオイル拭きのようなものがあります。木材の保護という観点からすると「ニス」などに劣りますが、その素材に直に触れてその肌触りそのものを楽しむような場合、そう、素足で歩く床材や家具、あるいはソフトな質感を経年変化を含めて愉しむような場合に適しています。これは風化が早いので定期的なメンテナンスを要します。
最近では外部の木部塗装でも木材浸透方の木部着色材塗料が主流になってきました。これも塗膜を形成しませんので塗膜の剥離の心配はなく、長期間にわたってその効能を期待できます。
キシラデコールや
ガードラックなどといった商品があります。さて「オイルフィニッシュ」です。これは室内塗装の話です。
先程、塗膜を形成しないと説明しましたが厳密には違います。
というのは「Oさんの家」の居間の天井に使った「タモ柾ベニヤ」の塗装にチークオイルの拭き取りをしましたが、塗装用オイルにもいろいろ種類があり、塗ってから空気で化学反応を起こして乾燥硬化するものと、いつまでも油として硬化しないものがあります。
今回採用した「チークオイル」は乾性油系酸化重合型塗料ですので空気中の酸素と結びついて硬化します。 刷毛でチークオイルをふんだんに塗布し、しばらく時間を置いてボロ布等で余分な塗料を拭き取ります。これを質感の好みに合わせて繰り返します。ムラになりませんので誰でも出来る塗装方法です。
実際作業するとなるとかなり大変ではありますが。
もう一点。「チークオイル」は木材のチークから抽出した植物性油だと昔は思い込んでいましたが実は違うので要注意です。本当はチーク材の床に塗るためのメンテナンス用に作られたオイルでこれは鉱物油です。わかりやすくいうと石油系です。石油といえば太古の微小動物が化石化した物質なのでこれは自然素材といえなくもないのか?この自然素材という言葉は非常にくせ者です。
いずれにしても「Oさんの家」の天井は経年変化による褐色化が楽しみです。
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投稿日:2009-06-30 Tue
■□ 天然木は経年変化による自然焼けを待つという方法もある □■掛川市内の「Oさんの家」の居間天井を化粧ベニヤ貼りで進めています。
そんなわけで数日前から、この
「突き板化粧ベニヤ」に関連したブログ記事を続けています。天井を「化粧ベニヤ」で仕上げる場合、着色するにせよ、無着色にせよ、天井面へ貼る前に塗装を施す方が綺麗に仕上がるというのは前回の記事でもお伝えしています。塗装の作業性の問題と、着色前に木工用ボンドがベニヤの化粧面につくと着色剤が載らず、いわゆる「色むら」を起すからです。
大工さんが貼る作業の時に手垢がつきにくいようにあらかじめ塗装してしまっておくという配慮もあります。そんなわけで基本的には1次素材であるうちに着色をするわけです。
準備として御施主さんにあらかじめ色決めしてもらう必要があり、これが結構うっかりしていたりして急遽御施主さんに相談するということも起こりえます。今回もそれに近いものがありましたが、話し合いを十分にして木材の塗装についての諸々の問題点もご理解いただいたので安心して作業を進めることが出来ました。
今回の「Oさんの家」での工事では、私からの提案でもあったのですが、「タモ材」の「突き板ベニヤ」を採用することに決めていました。
「タモ材」(府中家具工業協同組合さんのページにリンクフリーさせていただきました)は高級家具にも使う非常に木理の美しい材料ですが着色の色の「のり」も非常によいです。このように色付けに適した木材とそうでないものがありますので注意が必要です。なんでもかんでも木材に着色して美しくなるかといったらとんでもないからです。これは塗装の技術というよりは樹種の性質に由来する部分が大きいのです。この色むらが何で起こるのかという話はまた次回以降の記事に致します。
下の画像が今回使ったサンプルです。このように実物の木材などに着色して、他の部分とのバランスをとりながら各所の色を決めるというのが設計事務所的な手法です。一方ハウスメーカーは数通りのパターンが用意されていてその中から選択するという方法です。ハウスメーカーの場合、現場での塗装作業はほとんどありません。工場で大量生産され品質が安定しているものを安価に使うのがメリットです。打ち合わせの手間が掛かることと工期が長くなるという理由ももちろんあります。



左上画像から
1.タモ柾ベニヤのオーク色 2.同材のブラウン色 3.同材の無着色チークオイル拭き取り
また「色むら」の話をするのに色むらを起しやすい「シナベニヤ」の着色サンプルもご覧頂きました。

木材は年輪に対してどのようにカットして「柾目」と「板目」として使うかという「方向性」という観点もある素材ですが、タモは柾目、即ち木目が平行になるようにベニヤにすることが多く、シナベニヤの場合「板目」、木目が年輪模様に出るように作ることが一般的です。長い間に淘汰されてこのようになったことはいろんな意味がそこにあると考えて間違いないでしょう。これをあえて覆してみようという考え方もありえるかも知れませんね。私にはそこまでの勇気はありませんが・・・。私は実はこの「Oさんの家」で「タモ柾ベニヤ」を真っ黒け(ブラック色)に近い明度が極端に低い色合いに着色して、過激なコントラストにしようとたくらんでましたが、さすがに実際にやる段になって怖気づき、施主と相談してチークオイルの拭き取り仕上げという万人に受け入れられる仕上げとしました。ブラックは自宅で挑戦してみようと思います。
このオイルフィニッシュ仕上げについてはそれがどんなものかについて次回の記事にしてみましょう。
追記
色サンプルについてはここに載せたデジカメ画像は参考になりませんのでご承知下さい。
ネット上のあらゆるものについていえますが、現物色、素材感の再現には技術的な障害が多々横たわっており現在の一般的に使える技術ではまだ無理だと考えています。
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投稿日:2009-06-29 Mon
■□ 内装材から脳が受け取る情報 □■先週末から天井に「突き板化粧ベニヤ」を張る様子をお伝えしています。
「突き板化粧ベニヤ」の「突き板」というのはなぜ「突く」のか語源は良くわかりませんが、無垢の板を薄くスライスして表面に貼り付けた化粧用の合板のことを指し示します。(下地用の合板というものに対しての「化粧」という表現です。)これはもちろん専門の工場で生産されたもので現場で大工さんが作るわけではありません。「練り付け合板」と呼ばれることもあります。同様になんで「練る」のでしょう?
これに対して「プリント合板」と呼ばれるものがあります。これは印刷された塩ビシートなどを基盤の合板に貼り付けたものです。今の印刷技術は大変優れているので本物と見紛うほどです。「エンボス加工」といって表面に凹凸をつけたものになるとさらに見分けがつかなくなります。
大量生産できますので多くのハウスメーカーの内装材や住宅設備機器の表面材に多く使われています。原理的に色むらや品質のバラツキ等はありえませんのでクレーム処理を嫌うハウスメーカーはこぞって採用しているわけです。
それに引き換え「突き板化粧ベニヤ」は一枚一枚本物の木をスライスした薄片を貼り付けていますので表情がまちまちです。年輪模様もそれぞれに個性があります。自然界同様の「ゆらぎ」があるわけです。これが人間に非常な安らぎを与えているようです。小さな節目を「瑕(きず)」ととらえるか、それとも「個性」ととらえるか、それはその人の感性ではありますが、5年後、10年後の経年変化を楽しみたいのであれば、ぜひ「本物」により近いものを使うことをお勧めします。
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